経歴
- 2025年 4月 - 現在
- ・久留米大学病院臨床研修医
・東京大学大学院医学系研究科機能生物学専攻システムズ薬理学教室医学博士課程2年
・久留米大学分子生命科学研究所個体システム生物学研究部門ドクトラルフェローA - 2025年 3月
- 東京大学医学部医学科 卒業
- 2021年 4月
- 東京大学医学部医学科 進学
- 2019年 4月
- 東京大学理科二類 入学
- 2019年 3月
- 聖光学院高等学校 卒業
研究
私は、睡眠を通して脳状態遷移の原理を理解し、その知見を精神疾患および代謝疾患の理解へと発展させることを目指しています。臨床医学と数理モデルを融合し、多階層にわたる生体ダイナミクスを定量的に記述することで、脳と身体を統合する生理学的原理の解明に取り組んでいます。
現在、久留米大学病院にて臨床研修を行うとともに、東京大学大学院医学系研究科においてシステムズ薬理学を専攻し、久留米大学分子生命科学研究所にてシステム生物学的研究に従事しています。研究の主軸は睡眠および神経活動の数理モデルであり、神経細胞の発火パターンやイオンダイナミクスに基づいて、睡眠・覚醒といった脳状態がどのように生成され、維持され、遷移するのかを明らかにしようとしています。
睡眠研究は私にとって目的であると同時に手段でもあります。睡眠は神経活動と行動、生理機能の関係を定量的に観察できる数少ない生体現象であり、脳状態遷移の原理を探究するための理想的なモデル系です。私は睡眠から得られた知見を基盤として、精神疾患の背景にある脳状態、ひいては生体状態制御の原理を明らかにしたいと考えています。
睡眠研究では、Na⁺ダイナミクスに着目し、神経細胞のup–down発火パターンやslow-wave oscillationを再現する数理モデルを構築してきました。睡眠を単なる状態分類としてではなく、神経活動、膜電位、イオン濃度、回路結合の相互作用から創発される動的状態として捉えています。また近年は、単一細胞レベルの現象から神経回路全体のダイナミクスへと研究対象を拡張し、脳状態遷移を多階層的に理解することを目指しています。
精神疾患の多くは睡眠異常と深く関連しています。うつ病、双極症、統合失調症などでは睡眠構造や神経活動パターンの変化が認められますが、その背景にある脳ダイナミクスは十分には理解されていません。私は睡眠研究で得られた知見を基盤として、精神疾患を脳状態遷移の異常として捉え直し、神経活動や回路ダイナミクスの観点から理解することを目指しています。症候学的分類にとどまらず、脳状態制御機構の破綻として精神疾患を理解することが、より本質的な病態理解につながると考えています。
一方で、脳状態の変化は精神機能だけでなく、身体の恒常性維持にも大きな影響を及ぼします。睡眠と覚醒の状態は、自律神経系や内分泌系を介してエネルギー代謝や糖代謝を調節しており、脳と身体は密接に結びついた一つの制御システムとして機能しています。私は、睡眠や精神機能を脳内に閉じた現象としてではなく、全身の生理状態を規定するシステムの一部として理解したいと考えています。
そのため、私の関心は脳状態の研究から自然に代謝研究へと広がっています。睡眠不足が糖代謝異常や肥満のリスクを高めることはよく知られていますが、私はこれらを単なる疫学的関連としてではなく、脳状態制御機構と代謝制御機構の相互作用として理解したいと考えています。睡眠、精神、代謝は独立した領域ではなく、生体状態調節という共通基盤の上に存在する現象であると考えています。
臨床研究においても同様の視点を採用しています。内分泌代謝領域では、持続血糖モニタリング(CGM)データを用いて血糖変動を時系列信号として解析し、薬物治療や手術介入による状態変化を定量化してきました。さらに、β細胞や腫瘍細胞の応答性の違いを電気生理学的特性として捉え、その背景にある分子機構を数理モデルから検討しています。私は代謝異常を単なる物質量の変化としてではなく、生体制御システムのダイナミクスの変容として理解したいと考えています。また、他領域の臨床研究においても、生体システム全体の状態変化という観点を重視しています。例えば、LDLアフェレシスに関する研究では、脂質代謝、薬物動態、受容体活性の相互作用を統合的に捉えることで、治療効果をシステムレベルの状態変化として理解することを試みました。研究対象は異なっても、その根底には生体ダイナミクスを定量的に理解したいという共通した問題意識があります。
これらの研究に一貫しているのは、「生体状態はいかに定義され、いかに遷移し、いかに制御されるのか」という問いです。睡眠、精神活動、代謝応答、薬物応答はいずれも、多階層の相互作用から生じる動的状態の表現型であり、それらを統一的に理解する枠組みを構築したいと考えています。私にとって数理モデルは単なる解析手法ではなく、複雑な生命現象を統一的な言葉で理解するための方法論です。
今後は、神経活動モデルと臨床データの統合をさらに進め、睡眠、精神疾患、代謝疾患を横断する研究を展開したいと考えています。睡眠をモデル系として脳状態遷移の原理を解明し、その知見を精神疾患や代謝疾患へ展開することで、異なる疾患の背後に存在する共通原理を明らかにしたいと考えています。また、基礎研究で得られる神経活動データと臨床現場で得られる時系列データを接続することで、基礎と臨床を往復しながら新たな疾患理解へと発展させたいと考えています。
最終的には、睡眠から得られた知見を起点として脳と身体を結ぶ生体ダイナミクスの原理を解明し、精神疾患および代謝疾患の理解と治療に新たな視点を提供できる physician-scientist になることを目標としています。睡眠・精神・代謝を個別の領域としてではなく、一つの統合された生体システムとして理解することで、人の健康と疾患をより深く説明できる理論的基盤を構築したいと考えています。
Researchmap: researchmap
論文
Sato TR, Chinami Hori, Yuusei Wada, Nakano Kaoru, Gou Kodama, Kensei Taguchi, Ryo Shibata, Kei Fukami†.
SUCCESSFUL USE OF LDL APHERESIS IN CYCLOSPORINE-RESISTANT NEPHROTIC SYNDROME: A CASE REPORT WITH MECHANISTIC INSIGHTS.
Kidney International Reports (2026).
Link
†: correspondence
Sato TR, Ode KL, Kinoshita FL, Ueda HR†.
A design principle for neuronal firing with up-down oscillation through Na+ dynamics.
iScience (2025).
Link / Press Release (Japanese) / Code
†: correspondence
佐藤 智英, 岸 哲史, 大出 晃士, 上田 泰己†.
睡眠医療関連検査.
医学書院 検査と技術 8月増刊号 (2025).
Link
†: correspondence
学会発表
- 2026年 3月
- World Congress of Nephrology
- シクロスポリン抵抗性ネフローゼ症候群に対するLDLアフェレシスの有効例:Mechanistic insightを伴う症例報告
- Successful Use of LDL Apheresis in Cyclosporin-Resistant Nephrotic Syndrome: A Case Report with Mechanistic Insights (WCN26-AB-3029)
- 2026年 1月
- 第18回福岡県医学会総会
- CGMにて周術期血糖変動解析を行なったインスリノーマの一例
- Case Report: Analysis of Perioperative Glycemic Variability Using Continuous Glucose Monitoring in Insulinoma
- 2025年 8月
- 第25回日本内分泌学会 九州支部学術集会 若手奨励賞選考セッション
- CGMにて周術期血糖変動解析を行なったインスリノーマの一例
- Case Report: Analysis of Perioperative Glycemic Variability Using Continuous Glucose Monitoring in Insulinoma
- 2024年 11月
- 第31回日本時間生物学会学術大会 ポスター発表
- A design principle for slow-wave sleep firing pattern with Na+ dynamics. Sato TR, Ode KL, Kinoshita FL, Ueda HR.
- 2024年 9月
- Poster presentation at ICMMA2024 International Conference on “Self-organization in Life and Matter”
- A design principle for slow-wave sleep firing pattern with Na+ dynamics. Sato TR, Ode KL, Kinoshita FL, Ueda HR.
- 2023年 12月
- 第30回日本時間生物学会学術大会・日本睡眠学会第45回定期学術大会 ポスター発表
- A design principle of slow-wave sleep firing patterns with Na+ dynamics. Sato TR, Ode KL, Ueda HR.
- 2022年 12月
- 第29回 日本時間生物学会学術大会 ポスター発表
- A design principle of slow-wave sleep firing patterns with Na+ dynamics. Sato TR, Ode KL, Ueda HR.
資格
- 2025年 3月
- 医師国家試験 合格
2024年 4月 - OET Medicine Pass (ECFMG Certificate基準)
2024年 3月 - USMLE Step2-CK Pass
2024年 2月 - TOEIC 985
2023年 8月 - TOEFL iBT 115
2023年 3月 - USMLE Step1 Pass
2021年 12月 - 応用情報技術者
2017年 3月 - 英検1級
受賞歴・表彰歴
- 2024年 12月
- 有馬聡記念フェローシップ受賞
東京大学医学部医学科 - 2024年 1月
- 臨床実習学部長賞受賞
東京大学医学部医学科 - 2018年 8月
- アジアサイエンスキャンプ2018・日本代表
臨床経験
- 2025年 4月 -
- 久留米大学病院 臨床研修医
- 2024年 5月 - 2024 6月
- Johns Hopkins大学病院・精神科でのエレクティブクラークシップ
- 2023年 1月 - 2024 11月
- 東大病院でのクリニカルクラークシップ
研究経験
- 2021年 4月 - 現在
- 学生研究員・ERATO上田生体時間プロジェクト研究協力員
東京大学医学部・システムズ薬理学教室
Advisor: Hiroki R. Ueda & Koji L. Ode - 2024年 6月 - 現在
- 研究インターン
マンチェスター大学・Centre for Biological Timing, Division of Neuroscience, School of Biological Sciences, Faculty of Biology, Medicine and Health
Advisor: Mino Belle - 2024年 5月 - 2024年 6月
- 研究インターン
Johns Hopkins大学医学部・Schizophrenia Center
Advisor: 澤 明
Report: 活動報告書 - 2024年 4月 - 2024年 5月
- 研究インターン
東京大学医学部・システム遺伝学教室
Advisor: 岡田 随象 - 2023年 1月 - 2023年 2月
- 研究インターン
東京大学医学部・神経生理学教室
Advisor: 狩野 方伸 - 2022年 2月 - 2022年 3月
- 研究インターン
東京大学医学部・システム生理学教室
Advisor: 山本 希美子
奨学金
- 2025年 4月 - 2027年 3月
- 基礎系博士直接進学者奨学金
- 2024年 12月 - 2024年 12月
- 有馬聡記念フェローシップ 受賞
- 2024年 6月 - 2024年 7月
- MDプログラム (留学支援奨学金)
- 2024年 5月 - 2024年 6月
- 大坪修・鉄門フェローシップ (留学支援奨学金)
- 2024年 5月 - 2024年 6月
- 安川信子医学奨励基金 (留学支援奨学金)
専門的貢献活動 (Professional services)
- 2026年 7月
- 福岡国際音楽大学「ビジネス最前線」(オムニバス講義)登壇
福岡国際音楽大学 - 2022年 5月
- パネルディスカッション “Persuing the Art of Medicine: Bridging Humanities to Narrative-Based Medicine” パネラーとして参加
Japanese Medical Society of America, 東京大学医学部 - 2022年 3月
- パネルディスカッション “Persuing the Art of Medicine: Aiming to resolve a challenging issue with an effective solution.” パネラーとして参加
Japanese Medical Society of America, 東京大学医学部
ピアノについて
4歳の時からピアノを続けてきました。現在は医師の業務に従事しつつ、趣味としてピアノを続け、時々舞台で演奏する機会を頂いています。医師・研究者という形で医療・医学に携わる者として、音楽を通じて医療の道に貢献するためにできることは何かを考えています。
演奏活動
- 2026年
- 久留米大学医学部・井田弘明教授退任パーティーでの祝奏
- 久留米大学医学部・放射線科同門会パーティーでの祝奏
- 2025年
- ルーテル市ヶ谷ホールでのチャリティーコンサート (がん患者さん・ご家族の心理面でのサポートを行う「マギーズ東京」を支援するチャリティーコンサート)
- 2024年
- 東大病院でのクリスマス・コンサート
- 2017年
- チャイルドエイド チャリティーコンサート
- 2017年
- 介護施設でのコンサート (グランケアあざみ野)
ピアノの受賞歴
- 2021年
- 第15回セシリア国際音楽コンクール ピアノ部門大学生Ⅰの部本選 最高位
- 2021年
- 第22回ショパン国際ピアノコンクールin Asia ショパニストB部門アジア大会 金賞
- 2017年
- 第18回ショパン国際ピアノコンクールin Asia 高校生部門アジア大会 銀賞
- 2016年
- 第17回大阪国際音楽コンクールのアマチュア部門スーペリアコース 第2位
- 2016年
- 第17回ショパン国際ピアノコンクールin Asia 中学生部門アジア大会 銀賞
- 2015年
- 第9回横浜国際音楽コンクール ピアノ部門中学生の部 審査員特別賞
- 2014年
- 第8回横浜国際音楽コンクール ピアノ部門中学生の部 第4位
- 2013年
- 第23回日本クラシック音楽コンクールピアノ部門中学男子の部 第5位
- 2009年
- 第10回ショパン国際ピアノコンクールin Asia 小学校1, 2年生部門アジア大会 金賞
- 2008年
- 2008年度ピティナ・ピアノコンペティションB級 金賞
マスターコース
- 2023年
- Fryderyk Chopin University of Musicでのマスターコース参加、ディプロマ取得 (Prof. Bronisława Kawalla-Ryszka)
- 2019年
- Fryderyk Chopin University of Musicでのマスターコース参加、ディプロマ取得 (Prof. Jerzy Romaniuk)
- 2016年
- Fryderyk Chopin University of Musicでのマスターコース参加、ディプロマ取得 (Prof. Bronisława Kawalla-Ryszka)
演奏動画
第22回ショパン国際ピアノコンクールin Asia ショパニストB部門アジア大会 金賞
Youtube: 演奏動画
chopinist [at] g.ecc.u-tokyo.ac.jp, amadeusk31025 [at] gmail.com